中川岳二さんの工房を見学してきました。


北信州、中野市。

畑や神社が隣接する、美しい郊外の住宅地に

中川さんの工房を訪ねました。

 

 

 

 

 

お邪魔した日:2015年10月16日

お邪魔した人:花塚光弘、前田大作

 

 

 

 

 


中川岳二さんの工房 花塚光弘


中川さんが 信州の中野に来て15年。
僕が初めて出会ったのは 13年程前になるのだろうか。
斑尾高原で 中川さんの木工と奥さんのイラストを展示をしていた時。
2人の作り出す空間が とても心地よかったのを覚えています。

5年前に新しくしたという中川さんの工房は インテリア雑誌に出てきそうなほど統一感がありキレイに整頓されていた。
工房の中にある様々な道具。
道具の種類の多さも驚いたが サンダー・クランプ・ドリル刃など大きさが少しずつ違うものが もの凄い数並んでいる。
お店で見るよりも 数が揃っていそうなほど。
作る作品で 使う道具も細かく使い分けているのだろう。
作品への強いこだわりは 道具からも感じることができる。

中川さんにはもう普通になっているかもしれないが 木を組み合わせて加工して また組み合わせて加工して…。
「ココを加工してから 貼り合わせないといけない」とか
「先に貼り合わせてしまうと ココが加工できない」とか
貼り合わせる順番・加工する順番を間違えたら大変ということが もの凄くありそうだ。
僕は 考えただけでも頭が痛くなりそう。

工房展のDMでも描かれていた 奥さんのイラスト。
そして さらに細かくなっていきそうな 中川さんの木工。
これからどんな世界が作られていくのか 益々楽しみです。


中川岳二さんの工房 前田大作


 

良く晴れた秋空のもと、松本から1時間30分の運転で、木工作家中川さんの工房へ。

信州中野インターからのどかな道を走ると、ほどなくしてしずかな住宅地に

美しい植栽と複数の建物で構成されている素敵な空間に到着しました。

 


中庭を囲む様に配置された4つの建物のうち新しい3棟は二世帯住宅と工房2棟で、

それらの建築時に既存の蔵をリノベーションしたギャラリースペースでは

中川さんの個展が開催されていて、たくさんの作品も同時に拝見しながらの工房探訪となりました。

 


中川さんは1978年生まれ。埼玉県出身で、武蔵美の工業デザイン学科木工専攻卒業後、お父様のご生家のあった中野市に工房を構え、活動していらっしゃいます。

御自身の作品は寄木立体作品として位置づけ、

同時に木製玩具や針葉樹家具にもテイク・ジーという立場で取り組んでいらっしゃいます。

洗練された住居隣接の創作空間とともに、そのクリエイティブのエリアからも

従来の木工作家の印象では捉えきれないイメージを受けながら、アトリエを案内していただきました。

 


2棟ある工房はどちらも平屋作りとなっていて、一方の建物には材料のストックが整理され、

中型の木工機械類が設置されています。細長い空間の一番奥には集塵機が鎮座していて、

別棟となっているもう一方の工房を含めた至る所で集塵ができるシステムとなっているそうです。

しかもそれがワイヤレスでリモートコントロールできるようになっている。

機械屋さんのおすすめだったとの事ですが、素敵だなあと思いました。

こういった新しさ、固定概念にとらわれてしまっていると考えつかない事かもしれません。

もう1棟の建物は、ワークベンチと数々のドリル類、そしてその先端工具の数々。

ここでも床に座ってあて台の前でカンナをかける…という雰囲気とはかけ離れています。

自在に傾くスツールと壁にかけられた画、格子から差し込む美しい陽光に惹き付けられる空間でした。

明快な造形と、緻密に構成された寄木のグラフィックが匠みに組み合わされた独特な作風はどんな工房からうみだされるのか。訪れる前から興味がありましたが、洗練されながら温もりもある空間から、作品と同じ中川さんの個性、目指している方向が感じられました。

 

2017年には中川さんが目標とされていたという美術館での個展が予定されていて、今後の活躍がますます楽しみです。

 


中川さんのお気に入りの道具:

昇降盤などに施した特注の逆T字のレール。定規や材料を固定するのに非常に便利。