匠たちのリレーコラム #4

「諏訪湖博物館20周年記念特別展」 土岐千尋

 

 7月26日から9月23日まで、下諏訪町立諏訪湖博物館という所で長丁場の箱展をやっています。

 

この博物館は諏訪湖畔にあり、丁度泥船をひっくり返したような形状で横長の銀色のアルミ屋根が一寸未来を感じさせる建物です。

設計は今をときめく伊東豊雄です。

常設は諏訪湖に関した民族学的展示とアララギ派の歌人として名高い下諏訪出身の島木赤彦の遺品の展示の二本立てになっています。

 

前回の「木の匠たち」展を見に来た学芸員の方から声がかかり「開館20周年記念特別展」という大層な展示会となった次第です。

実を言いますとこの博物館を昨年退職した館員に親しい友人がいたのですが彼からは一度も声はかからなかったのです。

「そちらの館員の1人を良く知っていた。」と学芸員に話すとビックリしていました。

近い間柄とはそういうものでしょうか。

 

近しいといえば、私の作る物を当然箱だと思い作っているのですが、展覧会のポスターを見た方から「これはなんだ!」という意見が多々あり、そうか他人には箱だと認識できないのだという事に改めて驚きました。

これを称して独善がりというのでしょうか。

会場に蓋を開けた全箱の写真を置くことにしました。

 

展示室は170㎡と広く手持ちの作品ではたりず、昔購入して下さった方々から借り出しての展示となりました。

共催は「信州木工会」。

これはいわずと知れた谷さんがらみです。

展覧会が決定したとき、谷さんに「木の匠たち」展でおなじみの木の見本パネルをお借りしようと連絡したところ「信州木工会の研究会の事業として丁度いいから土岐さんの作品を見がてらやろうか。」という提案。

場所探しとなったのですが、館長に話すと館内の講堂を無料でどうぞという事に。

ついては信州木工会と共催にしませんかという事で話はとんとんと進んだ次第です。

 

私自身はオープンまでに作品を運び込めば良い位にしか思っていなかったのですが、それからの谷さんの行動力はすごく、40数年前の黒田辰秋のTV番組の映像を見つけ出し、面倒な著作権問題をクリアーし、あれよあれよという間に「木と漆と黒田辰秋を語る」(私が)という記念講演会を企画してしまったのです。

 

まさに青天の霹靂で知る人ぞ知る話し下手の私は今から戦々恐々の毎日です。

谷さんに感謝したものか怨んだものか・・・・。やはり感謝ですね。

展示作品44点、「木の匠たち」展ですでに皆さんが目にされた物が大半ですが、「展示場所が変わったら、全く違って見える」という意見も頂いています。

ついでがあったら見て下さい。