岩崎さんの工房を見学してきました。2012年6月13日

2012年、4回目となる木の匠たち展から参加していただくことになった

岩崎さんの工房におじゃましてきました。

 

 

 

お邪魔した日:2012年6月13日

お邪魔した人:飯島正章、狐崎ゆうこ、花塚光弘、前田大作

 

 

 

 

 

 

岩崎さんの工房  狐崎ゆう子

岩崎さんの工房は新しい。

大阪に20年以上暮らし、ここ原村にやってきてからまだ1年程度だ。

「木の匠」展に初参加であり、初顔合わせが3月、

まだ全然仲良くなっていないのにいきなりの工房訪問なのである。

彼女のホームページのプロフィールによると、

木工の勉強のためにスウェーデンやイギリスに行った事がある。

最近は韓国で個展を開催(しかも完売!)したそうだ。

そして今回は「良さそうなところだったから」と信州へ移住。フットワークが軽い。

機械や木材、仕事上の人間関係、木工の仕事にはいろいろと

重いものが積み重なってくるものだ。大変だろうなあ。

だがその場所は、そんな生活感あふれる感想を吹き飛ばすような別世界であった。
鬱蒼とした木々に山野草、野鳥の声が聞こえる林の中。

隣接する自宅は雑誌に紹介された。

当然家具は自作、もしくは自分でデザインしたものがほとんど。
とにかく格好良いのだ。

 

 

一方工房の中は質素かつ堅実で馴染みのある雰囲気。非常に安らぐ。
広さは4×3間、壁は合板、機械は単層の小さめのものが多い。

三層で目立つのはシェーパー。

椅子の脚のようなカーブの部分を型通りに成型することができ、仕上がりがとてもきれい。

初めて見たが、関西では一般的な機械なのだろうか。

更に天井からはチェーンブロック。重いものを動かすのに使う。


材料は隣のガレージの壁に立てかけてある。木取りもここでやる。

木工歴30年、余計なものを減らし、本当に必要なものだけをそろえた

コンパクトな工房という印象だ。

ところが13年前の大阪時代の工房の見取り図を見ると、広さ10坪。

シェーパー、角のみの代わりに当時は超仕上げがあるくらい。

材料置き場も兼用で、むしろ今の方が大きいくらいではないか。

しかも開業当初はなんと2坪から始めたとのこと。じわじわと拡大しているのだ。

実は岩崎さんに言われるまで気づかなかったが、

当時私たちは偶然同じ雑誌に取材されていたのだ。

見取り図もそこに載っていた。

さらに本文には、「夢は工房兼住宅を持つこと。」

まあ雑誌の記事なんてあまりあてにならない。

でも、「夢」はかなったわけだ。すごいです。
ちなみに私の「夢」は「木工を辞めずに続けること」。達成中。レベルが違うかな。


●こだわりの道具、材料は何ですか?
スウェーデンの学校で初めに作ったナイフ。

洋ナシの木、真鍮で柄を作り、皮と水牛の角で鞘を作った。

もう一つは、面取り用の豆ガンナ。

台だけでなく、巾3㎜くらいの刃も自分で焼きを入れて作った。

10年以上前に制作したもの。
     
材料で好きなのはウォールナットやナラ。

濃い色の木を組み合わせて作ることが多い。

 

 

 

 

 

 

 

 

岩崎さんの工房  前田大作 記

1年前に大阪から信州へと工房をうつされた岩崎さん。

今年から木の匠たち展に参加してくださることとなり、今回の工房探訪が実現しました。

一度準備会でお目にかかって以来、お会いするのは2回目。

ようやくきちんとご挨拶ができるというタイミングでもあり、

どんな方が、どんな工房を信州に作られたのだろうという興味もとても強かった。

取材班(?)は一同ワクワクしながら岩崎さんの工房を目指していたと思います。

 

 

八ヶ岳山麓の別荘地らしい、独特の雰囲気の森を抜けて到着した岩崎さんの工房。

これまで僕が御邪魔した事のあるどの工房とも雰囲気の違うような佇まいに

正直なところ、ちょっとした衝撃を覚えました。

 

外観は、建築雑誌に載っていそうな佇まい。

丁寧に整地されたエントランスとさりげない結界にこちらの背筋ものびるような感覚。

基礎工事のときにでてきたという

石で作られた玄関へのアプローチで迎えてくださった岩崎さんを、

第一印象で木工家と見抜くのは難しいのではないかな。

わずかに感じる関西のイントネーションだけが

「初めてお目にかかる雰囲気の作家さんだな」という

妙な感覚を持続させている訳ではなかったと思うのだけれど

「この栗の扉は、自分で作ったんです。」と仰るシンプルな造形と

木の温もりが同居する(個人的に大好きな雰囲気の)両開きの玄関ドアをくぐっても、

まだどこか工房探訪というテンションにはなりきれないままでした。

 

新築の清々しい木の香りを嗅ぎながら

右手の住居空間を横目に吹き抜けの土間をすすみ、

工作機械の並ぶ作業場に入ってからようやく、

「ああ、やっぱり岩崎さんは本当に木工をなさっているんだな。」

という実感が湧いたというのが本音といったところでしょうか。

 

 

「思い入れの強い道具はこの二つです。」

小さなカンナと使い込まれたナイフをみせてくださったけれど、

どちらも僕には見慣れない造形でした。

際鉋のようにみえた小鉋は面取り用だとご説明くださったとおもうのだけれど、

仕込み溝に横からはめ込むというもの。

もうひとつのナイフは、スウェーデンで参加した教室ではじめに作らされるものなのだとか。

「彼らはいつもこれを腰にさげて森に入り、枝を切ったり何かを削ったりしているのよ。」と、

また僕には全く知らなかった世界を教えてくださった。

…思えば、僕の知っている世界ではナイフではなく小刀なのだ、木工で使う道具とは。

ナイフとは実生活のなかで、あるいはキャンプに出かけたときにでてくるツールであって、

仕事場とは別の世界に存在していたのに、

かの森と湖の国ではそれがどれだけ寄り添ったものであるのだろう。

なにか僕の中の木工藝というか、

木工「道」のような固定概念がすこし変化したように感じました。

岩崎さんの工房には本当に僅かな、最小限といえるぐらいの材木しか並んでいない。

充実しているけれど機械類だって最小限だろうし、

自動鉋なんて一尺サイズのこじんまりしたもの

(実際にはもう少し大きいといいと思っていますと笑っていらした)。

それが僕には、すごく飄々としたような、軽快で無駄のない、

女性ならでは合理性に満ちているように思えたのです。

作業場をでると、ほぼ手つかずの森が目の前に広がるロケーション。

野生の鳥が何種類、野草が何種類と、その森に棲む動植物のことを説明してくださる。

周囲と溶け合う感じ、それを外に発信する感じ。

 

岩崎さんから醸し出される印象は、

工房から放たれるイメージそのものなんだと感じたひとときでした。

 

 

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